青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

著者 :
  • KADOKAWA (2023年7月28日発売)
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感想 : 150
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今回は四つの話。

『青瓜不動』 これを読んでたら、今放送してる朝ドラが頭に浮かんだ。丁度、女性の権利についての事をやっているところだったので。読み進めていくと、田舎で閉鎖的な村ほど女性には、何の権利はないんだという事を思い知らされた。主人公の奈津が虐げられても懸命に生きている姿は、読んでて勇気づけられた。前の聞き手のおちかが、無事女の子を出産。本当に良かった。これも今の聞き手の富次郎が頑張ったからかな。

『だんだん人形』 水戸黄門に登場する典型的な悪代官が村人たちを苦しめる。悪代官の被害者、おびんが作った土人形。おびんが土人形に込めた想いがあまりにも悲しい。悪代官の悪行を役人に知らせる為に、奔走した一文(本当は文一)におびんはこの土人形を渡す。この土人形が4回一文の子孫たちを守る。4回守るとおびんの願いも叶う。おびんの願いが叶ったとき、切なかった。語り手の門三郎と富次郎のやり取りが微笑ましくて、暗い気持ちを癒してくれた。

『自在の筆』 この話はいつもと違う。黒白の間で語られなくて、百物語には数えられない。筆に魅せられた人の最期が凄まじかった。物に悪きものが取り憑き、人を狂わすのは怖い。この話を聞いて富次郎は絵を描くのをやめようとする。富次郎が心配。

『針雨の里』 捨て子、迷子、孤児の話だったので暗い話なのかな?と思いながら読んでたけど、とっても優しくて切ない話だった。狭間村の秘密が分かった時、なるほどと納得するところもあったけど、悲しいと思う気持ちの方が多かった。狭間村にいた子たちと村のその後が気になる。この話で富次郎の迷いも消えて良かった。また、一段と良い聞き手になってほしい。

全体的に子供たちが一生懸命生きている姿が書かれてると思います。私も頑張ろうと励まされました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宮部みゆき
感想投稿日 : 2024年4月30日
読了日 : 2024年4月30日
本棚登録日 : 2024年4月30日

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