タイトルは『世界は分けてもわからない』だが、本書の最後には次のような一文がある。
「世界は分けないことにはわからない。」
"分ける"とは、物質・現象の要素化、モデルの構築、概念の確立などに対応すると思われる。 たとえば物質を分子や原子や素粒子に分けていったり、生き物を細胞や分子に分けていったり。
本書はこういった"分ける"ことに疑問を呈しているが(そしてそれは著者以外にも見られる考え方だが)、決して"分ける"ことそのものがだめだと言っているわけではない。
大切なのは、その過程で捨象されていることに自覚的なこと。現象の一部分を切り取って調べただけで分かった気にならないことだ。
「世界は分けないことにはわからない。しかし、世界は分けてもわからないのである。」
だけど、それまで誰も思いつかなかった上手い"分け方"が見出された時に、科学とか研究というのは発展していくのではないかなあ、とも思うわけだが。
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- 感想投稿日 : 2017年1月28日
- 読了日 : 2011年11月28日
- 本棚登録日 : 2011年11月12日
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