悪女入門 ファム・ファタル恋愛論 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2003年6月19日発売)
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感想 : 51
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フランス文学に見るファム・ファタルの系譜。

 運命の女と訳されることが多いファム・ファタル、実際の意味はちょっと違って、男を破滅させる女のこと。破産じゃなくて破滅。大金持ちが破産して無一文になり、さらに大きな借金を背負うくらいに入れ込んでしまう女。100あった財産を破産させたくらいじゃファム・ファタルの名が廃る。100マイナスにして、なおかつお命頂戴くらいで、見事その称号がいただける。それこそがファム・ファタル。


 フランス文学がご専門の鹿島茂先生の本なので、例題にあがる悪女はみなフランス文学からの借用。
大学でフランス文学を講義していてもなかなか学生の頭に染みていないな、と感じたことがきっかけで、ファム・ファタルということをひとつのキーワードにしてみたらしい。女子学生には大うけだったようだ。
 
 この本のなかで紹介されていたフランス文学で最初のファム・ファタル小説と言われている「マノン・レスコー」を早速、読んでみた。すごい面白かった。主人公が愛する女性は、悪気がないのに男を破滅させる、まさにナチュラル・ボーン・ファム・ファタル。

 日本で悪女と言えば中島みゆき嬢の「悪女」という歌が有名だけど、あれは悪女のなかでは最低レベルの痛い女、イタ女です。裸足で夜明けの電車で泣くなんて、傍目にも不気味です。あれでは男は振り向きません。

 本物の悪女になって男を手玉にとりたい方に、この本をお勧めします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月10日
読了日 : 2020年7月27日
本棚登録日 : 2020年7月27日

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