中編2つ、短篇3つを収録。表題作の中編『ピカデリーパズル』は1889年発表の作品。探偵小説というジャンルの黎明期に、読みようによっては多重解決モノの気配も感じさせてくれる作品。ただ、解決案を次々と同じ探偵役に述べさせているため、巻末解説でも触れてるとおり、優秀な筈の探偵役が場当たり的に解決案を出してるだけで、事件に翻弄されて滑稽に見えちゃうってのが残念か。
もう一つの中編『小人が棲む室』はミステリと言うより、ロマンス、メロドラマ系の印象(コリンズの『白衣の女』みたいなジャンル)。とある青年の出生の謎、恩人の娘への恋、一族にまつわる小人の伝説と、外連味たっぷりで面白かった。
短篇3つ「緑玉の神様と株式仲買人」「幽霊の手触り」「紅蓮のダンサー」も、ネタが見え見えのところはありますが、メロドラマや幻想文学と融合した作品として楽しめて良。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2020年2月3日
- 読了日 : 2020年2月3日
- 本棚登録日 : 2020年2月3日
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