三島由紀夫の作品は、敷居が高いイメージがあり、読んでみたいと思いつつもなかなか食指が動かない状態が続いていました。しかし、この作品はライトな作品で、5人の登場人物達の手紙によって展開していく形式が斬新で面白かったです。
気軽に読めますが、登場人物1人1人の性格が手紙によって表れ、感じ取れるような気がして、軽さの中にも奥の深さがある作品でした。
恐らく、自分の年に近い登場人物に感情移入しやすいのではないでしょうか。数年後に読み返すと、感情移入する対象が変わっていそうな気がします。
最近では、SNSを使った短文のメッセージを送って連絡をすることが主な手段であり、相手がちゃんと読んだかがわかる機能があります。
でも、手紙は最後まで読んでもらえたのかわからず、途中で相手の反応も掴めません。手紙を書くことに抵抗を感じてしまうのは、相手に自分の思いの丈をぶつけたら、敬遠されてしまいそうだからだと思いました。表紙に「手紙は爆走である」というキャッチコピーがありますが、最後まで読んでもらえるかわからない手紙を綴る為には、強靭なメンタルが必要なのかもしれません。久しぶりに誰かに手紙を送ってみたいような気持ちになりました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年5月22日
- 読了日 : 2022年5月22日
- 本棚登録日 : 2021年8月29日
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