宇宙船地球号 操縦マニュアル (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房 (2000年10月10日発売)
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本棚登録 : 636
感想 : 65

2022.03.10
snsで時々見かけるテンセグリティ構造。その発明者のバックミンスターフラーは、大学の授業で聞いて以来知っていた。この本面白いという口コミを見て、いざ読んでみた。
波に浮かぶ泡を数式で記述する際に、無理数であるπが含まれることに対して違和感を持ち、直交座標による数学の限界を悟り、正四面体を基準とする技術体系を考えたという思考プロセスの凄みを感じた。
人類は今あるものだけで、十分な富を得ることができる。もう奪い合う必要などない。この言葉は突き刺さる。ウクライナ侵略が始まってしまったからだ。

そのほか印象に残ったこと。
・海賊が記憶に残らない社会の支配者、ルーラーだった。
・海賊に代わって、専門分化した人間が増えていく。しかし、過度に専門分化した生物は環境の変化に対応できず絶滅する。狭窄した視野は、人々を争いへ向かわせた。コンピュータが台頭することで、スペシャリストは不要になる。包括的に、グローバルな視野で地球を考えよう。
・建築家、プランナーは、スペシャリストであり、包括的な視野を持つことが求められる!
・物質というのは、エネルギー保存の法則に従い、一定量であり続ける。しかし、超物質的(メタフィジカル)な富、つまりノウハウはいくらでも増えていく。実験を繰り返してノウハウを得ると、世界のエネルギー量は変わらないが、ノウハウは無限に増えていく。これらをシナジー的に用いることで富は増えていく。
・頭と心は違う。頭は、情報を収集整理記憶する。心は、総合的な直観力により、さまざまな問題をシナジー的に解決する。直観をもっと信じろ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年5月21日
読了日 : 2022年3月10日
本棚登録日 : 2022年5月21日

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