犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、刑事・野上(東出昌大)から6年前に起きた一家失踪事件の分析を頼まれる。しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。
一方、高倉が愛する妻・康子(竹内結子)と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。病弱な妻(最所美咲)と中学生の娘・澪(藤野涼子)をもつ主人・西野(香川照之)との何気ない会話に翻弄され、困惑する高倉夫妻。そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は驚愕する。
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」
未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。2つの繋がりに高倉が気付いた時、康子の身に【深い闇】が迫っていた。元刑事の高倉が未解決の失踪事件と奇妙な隣人家族のつながりを調べている中で、隣人・西野の無礼なほど無愛想だったり不自然なほど明るく振る舞ったり相手の心理を見抜き操るような奇妙な言動に潜んだ違和感と失踪事件との関わりに気付き西野の闇に引き摺り込まれる展開が、黒沢清監督特有の日常の風景の中に不吉さや不気味さを漂わせた描写や西野の奇妙な言動の中にあるサイコパスの本性、刑事の仕事に未練のある高倉に不満のある心のスキマを突かれて取り込まれる康子と暴力で支配され西野の共犯にされる澪の恐怖とマインドコントロール地獄、後半に登場する西野の家の地下にあるもの、和製サイコホラーサスペンス映画の傑作。西島秀俊、竹内結子、川口春奈の演技も印象的だが、藤野涼子と香川照之の不気味さに背筋が凍ります。
- 感想投稿日 : 2023年3月25日
- 読了日 : 2023年3月25日
- 本棚登録日 : 2023年3月25日
みんなの感想をみる