しゃぼん玉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年1月29日発売)
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本棚登録 : 3934
感想 : 476
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読み初めにいきなりひったくりの青年が登場し、一度表紙のタイトルを見直した。「しゃぼん玉」でどんな「おち」が待っているんだろうと…

物語に引き込まれて一気に読了。

ちょっとずれた田舎の高齢者とのやり取りの中で、よくやり直しに結び付いたと、後半は主人公の更生の道を様々想像しながら読み進めた。

気持ちが何度もぶれて、そのたびにまた前のように戻るのかとひやひやしした。
時間の経過の中で初めは「うっとおしい」と感じていたシゲ爺が言うことが、きちんと心根に響かせて聞けるようになる、その変化の過程が素晴らしい表現力で(上からですが…失礼)物語に引き込まれて同化してしまい、号泣に近い涙を流しながら読んだ。

若い世代に同じことを質問されて、果たして私はこのように返せるのか、まだまだ人間としての未熟さのほうが多いだろうと恥じ入りながら、この本に出会えて本当によかったと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月15日
読了日 : 2017年8月15日
本棚登録日 : 2017年8月13日

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