一勝九敗 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年4月1日発売)
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さすが柳井さん。一介のビジネスパーソンをやる者なら、一度は読む価値があるだろう。

○父は僕の人生最大のライバルでした
 やっぱそうだよな。男にとって、父とは、超えるべき相手として、意識するもの。それを、柳井さんも言語化してくれていることが、なんだか励みになる。

○トップダウンが生きるときとボトムアップが生きるときとある
 ユニクロも社員数が少ないうちは、柳井さんの意思決定のもと素早い動きを行っていた。ただ、組織が多くなれば、そのやり方は上手くいかず、ボトムアップ式に変更していったという。
 →よく、ボトムアップか、トップダウンか、のような二元対立項で語られることが、あるが、あまりセンスが良いとは言えないだろう。そのときの状況・目的によって、どちらがよいかは変動するに違いない。

○広告代理店に任せっきりではだめ
 ユニクロは「良いものを安く」「服に個性があるのではなく、着る人に個性がある」など、具体的なブランド、信条を強く意識してきた。そのブランドを創り上げるためには、常に主体的に見せ方や広告を制御することが必要である。ユニクロ自身、その宣伝方法には頭を絞りまくった。そこで、今のユニクロへの認識が創り上げられた。すべて、ユニクロの内部からの、推進である。

○現場に行っても、理解しようとする人は理解するが、理解しようとしない人は絶対に理解しない。時間の無駄だ。(こうすべき!という一元的なキャリアステップなどない)
 経営者になりたいと思って転職した人に、よく言うように「一度は現場を見ろ」といって、無理やり店舗に送り込むことなどない。経営業務をやりながら、現場を見たいと自分で思うようになってから、送ればよい。逆説的で、面白い。

○広証、東証二部、一部と成長を続けたかに見えるが、単に波にのって成長を続けたわけではない。その成長の都度、まったく一から会社を作り直さないとだめになると思い、ABC改革などの、様々な改革をすすめていった。
 成長途中の組織には、常に制度変更・変革が求められる。当たり前だが、この変革あっての、上場だろう。

○毎日でも変えたい組織図
 ビジネスの難しさと、変化の速さを物語る一言。外部環境が毎日変わるのだから、それに合わせて、ビジネスの仕方も変わるし、その実行役となる組織の変化も必要にきまっている。ホントに本気でそう思っていそうなところが、面白い。

○女性のマネジメントー生理日を把握しているか
 柳井さんは、女性の活躍を早くから推進しており、そのためには、女性の気持ちや意図を汲み留めれるマネージャーが重要だと説いている。その一例としてあげられているが、部下の女性の生理日を全員把握しているという、マネージャーだ。

○成功とは保守的になることだ
 この考え方には感服する。成功には常に失敗の芽が潜んでいる。どんなときであろうと、環境・社会の変化に目を凝らしながら、よりよく変化し続けていかねばならない。


 

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感想投稿日 : 2018年10月1日
読了日 : 2018年10月1日
本棚登録日 : 2018年10月1日

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