一ヶ月半をかけて読了.どうも物語にとけこめず,本の中の世界との距離を感じながらの読書になった.
戦争には行かなかったが,戦争に囲まれて育った世代の4人とホステス役である鏡子が主人公.ほとんど4人をめぐる4つの話が平行してすすむ.その4人とも三島由紀夫のある一面を取り出して造形されている感じがする.そしてどの人もあまり愉快な人ではない.
もっとも愉快で気がいい人ばかりでてきては文学にならないだろうが.
豊饒の海を読んでいる時にも思ったが,小説自体より,それを紡ぐ言葉に感心する.特に最後の夏雄と鏡子の会話は表面的には穏やかだが双方ともに物事の本質に肉薄する迫力にみちている.すごい.
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
1970年代以前の小説
- 感想投稿日 : 2014年6月25日
- 読了日 : 2014年6月24日
- 本棚登録日 : 2014年5月7日
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