有名な埼玉愛犬家連続殺人事件では、稲川会系の高田組の組長代行も殺されているのだが、この高田組の組長が当時、犯人である関根元が組長代行殺しの犯人でもあると直感し、警察よりも前にその証拠を押さえ(あるいは自白させ)私刑に処そうとした一連の騒動を、事件から二十数年を経て口述する回想録。
完全なサイコパスある関根と自称"長年の精神修行によりチャクラが開いている"高田組組長と当時関根の殺人全般を解明しようとしていた埼玉県警との攻防がなかなか読ませてくれる。特に、関根を取り込み、金ずるにしようとする組長代行に対し、それに怯えながら殺害という真逆の行為で対抗をする関根とその共犯者達との複雑な関係性は、こういった場末のドロドロ犯罪の真骨頂、パルプフィクションを見ているような気がしてくる。
北九州連続監禁殺人事件もそうだが、この種の事件には常に強欲で人のコントロールに長けた男とその情婦、そしてそれにまんまと取り込まれていく意志の弱い人間(当初だと犯人からの何かの依頼事項を断れないような気の弱い人々)という構図が定番となっている。今回の場合、そういう強欲な犯人を更に取り込もうとして返り討ちにあったヤクザという新たな構図が加わっているわけではあるが、とにかくこの種の"人が人を喰う"現象や状態というのは本当に気分が悪くなる。が、本になると読んでしまう。怖いもの見たさ、ということなのであろうか。。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション>犯罪
- 感想投稿日 : 2017年3月10日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2017年3月10日
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