スポ根劇画ノリの音楽映画。
ありそうでなかった映画。その目の付け所が良いですね。
全米一の音楽大学に入った主人公は、家族の中では過少評価されていて忸怩たる思いがある。そんな中、学校では鬼教官に気に入られ、しごかれていくが。。。
映画の内容は泥臭く、脂っこいが、映像がスタイリッシュなので、作品自体がクールになっている。
この映画を観て思い出したのはブラックスワン。
・芸術をストイックに究める中で、狂気の世界へ突入する。
・熾烈なライバル争いの中で、人間性が損なわれていく。
が共通点だろう。
ブラックスワンは女の世界だし、もう少し性的な部分も強かったが、こちらの映画は男臭い。
この映画の持ち味は、純粋にアスリート的な部分(手から血がしたたり落ちまくる)と、教官のサディスティックな不条理さ、じめっとした狂気がうまくブレンドされている事。
そして、ドラムのリズム自体が主役になり、物語を駆り立てる。
教官は、実際に演奏となると我を忘れて、メンバーをこき下ろしてしまう。本来場をコントロールすべき指揮者が、感情的になってしまうのは、音楽芸術において有効なのだろうか?
音楽はどこかで自分を客観的に観れるようなクールさと熱情を同時にもっていないとプロフェッショナルに表現できないのではないだろうか。
と一方で違和感を感じた。
お話しを面白くするためには有効な演出(ホラーの効果)だと思うのだが、やはり音楽指導者としては、圧倒的に欠けてしまっている何か、が際立った上で、終了する部分がなんだか引っかかる部分だった。
- 感想投稿日 : 2018年10月3日
- 読了日 : 2018年10月3日
- 本棚登録日 : 2018年10月2日
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