チューリングマシーンを作ったチューリング。
特殊な性格の天才。
もし、学生時代そばにいたら友達になれないだろうに、観ていてなぜここまで感情移入できるのか。
それは誰もが人とのコミュニケーションに悩んでいて、いくら自分が実力があっても評価されないという悩み(それは、実際は他人から見た能力と自分で思っている能力のギャップだったりするのだけど)があるから、そこに共感できるのだと思う。
また、恋の悩みは、ゲイの主人公からひとひねりした切なさになっている。
チューニングとジョーンは一般的な恋愛ということではないけれども、お互い社会との疎外感があるなかで人間的に惹かれあい、助け合うことで困難を切り抜けた同士であり、その関係は二人だけにしかわからない関係性で、人間愛があふれている。
ただ、チューリングが同性愛者であるということで2人の間に恋愛は永遠にかなわない。
この永遠に結ばれないのに惹かれあっているというところに、禁忌があるからこそよりピュアな愛を感じる(三島の「豊穣の海」のような)。
その部分に魅力がある。
ただしこれはヘテロ的な視点から感じるのでは?とも思った。
チューリングに寄り添った視点ではないのではないか。
とも。
主人公チューリングが婚約者のジョーンに同性愛者とカミングアウトし、婚約解消する場面のジョーン(キラーナイトレイ)のセリフが心に残った。
だから?
だから何?
ずっとそう思っていた
私たちは人と違う
私たちなりに愛し合い
生きていけばいい
あなたは完璧な夫じやないし
私も完璧なら妻になる気はないわ
あなたの帰りを待ってラムなんか焼かない
仕事するの
あなたも仕事
そして一緒に暮らす
心を通わせながら
普通の結婚より すばらしい
あなたが好きなの
あなたも私が好き
お互いを誰よりも理解しているわ
こんな情熱的な言葉を言われて、断れる男が世の中にいるだろうか。と思うが、彼と彼女は別れる。
- 感想投稿日 : 2022年1月14日
- 読了日 : 2022年1月4日
- 本棚登録日 : 2022年1月4日
みんなの感想をみる