実力大競争時代の「超」勉強法

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  • 幻冬舎 (2011年4月7日発売)
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実力大競争時代の「超」勉強法
単行本(ソフトカバー) – 2011/4/7

2011年4月16日記述
ユニクロなどの社内英語化の流れや中国、インド経済の発展によってこれまで以上に日本人に勉強が必要であることを解説しつつ英語、数学についての勉強について説明しています。
筆者自身がロシア語の勉強をしている事を語るなど勉強は何歳からであっても遅い事は無いことを
身を持って示している事には驚きます。(今70歳)
ただこれまでの野口悠紀雄氏の著作(超勉強法、超英語法)と内容が重複している箇所も多いです。
本書は全体的に見て勉強する事の必要性や知識を増やす事の楽しみ、日本の置かれた状況の解説が多いです。
具体的な勉強法やノウハウなどの内容をもっと知りたい方は上記2冊を参考にされると良いと思う。

2016年9月11日(日)再読レビュー

野口悠紀雄氏の著作。東日本大震災直前に出版された。
重要な指摘満載の本ではある。

はじめにある就職大競争時代に関してはホンの数年前まで本書の指摘する通りであったのに大きく改善してしまい狐に包まれた思いがある。リーマン・ショック後の2009年~2011年頃までの新卒生は大変だった。今また人手不足で状況が変わった。
しかし本書の指摘する勉強の重要性はより高まっている。

本書で印象に残るメッセージを引用したい。

知識ではなく、問題解決能力が必要とされる。
ITの発展によって、知識を得ることは簡単になり、その希少価値は低下した。
求められるのは、知識ではなく「それを使って何ができるか」なのだ。

日本の大学の大部分が、スクリーニングのための機関である。
だから、入学試験がきちんとしていれば良い。入試こそ重要だったのだ。
教育内容の質が高くなくとも、社会は大目に見る(そもそも、あまり期待していない)
しかし、入試で厳正さを欠いたらアウトだ。

大学入試センター試験のような全国一律の試験を正確に実行できる国は世界広しといえども、日本だけだろう。

蟻族と呼ばれるような大学を卒業しながら、コネがないために就職ができず、
社会の中枢に近づく道を閉ざされた若者が増えている(中国)
権力と富が世襲によって独占される事態が生じているのだ。
これは中国が潜在的に抱えるもっとも深刻な不安定化要因だ。
日本でも政治の分野で流動化が損なわれている。
二世、三世の政治家が増えており、事実上世襲制の観を呈しているのだ。
これでは十分に広い範囲から人材ろリクルートできない。
したがって、政治家の質が低下する。これは日本衰退の大きな原因だ。

「知らない人ほど理論の力を過大評価する」
大学に進学出来たことを幸せだったと考えているが、その最大の理由は
「大学で教えているのは大したことではない」と知ることが出来たからだ。
だから「どんなことでも独学で征服できる」と考えている。

勉強で獲得すべきは、伝達力と問題の発見・解決力。

牛後となるも鶏口を目指すなかれ
⇒「尊敬できる敵」はあなたを引き上げるが、尊敬できない敵は、あなたを引きずり下ろす。どのような競争相手を持つかは、成功の諸条件のなかで、かなり重要な位置を占めている。

無知の状態から新しいものが生まれることはないのだ。
知識はITを通じ簡単に手に入るようになった。知識を持っていることの重要性は増したというべきだろう。
知識そのものが直接的な意味で役立つわけではないのだが、知識が触発する発見が重要なのだ。
知識が新しい発見を促す。
科学上の発見は、それまでの知識の上に立ってなされることがほとんどだ。
知識があるからこそ、新しい発見がある。
ルイ・パスツールは「発見は準備した者にのみ与えられる」と述べた。
準備の中で大きな比重を占めるのは、知識を増やすことである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月9日
読了日 : 2021年12月9日
本棚登録日 : 2021年12月9日

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