洗脳原論

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  • 春秋社 (2000年2月15日発売)
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洗脳原論 単行本 – 2000/2/15

アンカー取りできないと脱洗脳はできない
2016年2月10日記述

苫米地英人氏のよる著作。

知識として、オウム真理教の信者、幹部の洗脳をといた著者の体験談は極めて貴重である。
ただ本書で知ったからと言って誰でも洗脳できるようになるわけではないし洗脳の解除も難しいだろう。
抽象的な会話のやり取りも多そうだし。
普段そんな会話なんてしないし。
アンカーの埋め込み、アンカーとりもそういうもんかを思ってもどれがどれだけ判断できる人間は限られるように思われる。
またオウムのようなカルトから信者を奪回してもアンカーとりが行わないと恐怖体験が蘇り元のカルトに戻る危険性があるという指摘には驚いた。
カルトに関する情報は与えてはいけないのだ。
また苫米地氏自身も成功率は60%前後と述べているように難しい点も多い。
信者に逃げられてしまう場合も多々あった。
解決に時間もかかる当時の苫米地氏も1人で半年、年に2人が限界とのこと。

他のレビュワーの方がまとめられているように本書の重要項目は以下の通りである。

【読んだ覚えておくべきこと・後にするべきこと】
洗脳にはレベルがある。
第1段階は 墓は何か嫌な気がすると同じ状況(日本以外ではそうではない場合がある)
第2段階は 映画館で作品に集中して自分が椅子に座って映画鑑賞をしているのを忘れているのと同じ感じ
第3段階は どんな状況でも第2段階の状態を引き出せるように、精神的にトラップを仕掛けられる。
第4段階は 常に第2状態が続き抜け出すことができない。
洗脳された人にはアンカーと呼ばれる心理的なトラップが仕掛けられていることが多く、脱洗脳の際にアンカーを踏んでしまうとまたもとに戻ってしまう。
アンカーとは例えば、ろうそくの火を見ると天国が見えるなど。
ディベートは常識的に見てばかばかしい内容でも筋が通ればいい。(危険)
アメリカに留学する人は注意。
大学にも洗脳・ドラッグを利用したカルト的なリーダーが結構いる。
低い洗脳段階ではあるが、日本のメディアは超常現象を現実のものと錯覚させている。
これに対して真実を説かない日本のジャーナリスト、医師、学者、宗教関係者は怠慢。
話題を変えて、ロジックをそらす相手には、オープンクエスチョンをしない。
話題をそらしたら、そんなことは聞いていないと言い、YesかNoかで答えさせる。
⇒オウムの上祐幹部と江川紹子氏とのTV討論で実践された。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年12月22日
読了日 : 2021年12月10日
本棚登録日 : 2021年12月10日

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