金井君という哲学者の青年が、年齢順に性や恋の記憶を語る小説。モデルは森鴎外先生自身と言われ、性の目覚めと思春期の記憶について赤裸々に語っている。
この時代、フロイトの性についての理論が日本に入ってきた。キリスト教文化の西洋においてはもちろん、文明開化を遂げた日本でも、性に触れるのはタブーという世の中であった。
抑圧されたものが一気に噴き出るように、人の行動を何でも性エネルギーに関連付けることが行われたのもこの時期。三島由紀夫の「音楽」を読んでも、こういった現象がみられる。
この本は発売当初発禁処分になったらしい。今のご時世から見ると、村上春樹なんかよりよっぽど爽やかで健全な内容。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の名作・エッセイ
- 感想投稿日 : 2013年7月11日
- 読了日 : 2013年6月20日
- 本棚登録日 : 2013年7月11日
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