プレイヤー・ピアノ

  • 早川書房 (2005年1月31日発売)
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感想 : 5
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退職したタイミングでの初ヴォネガット。

技術者と管理者によってより良き生活が成り立っている世界。産業や成果物の生産性で生活の良し悪しが評価される指標そのものへの疑問を投げかけています。「ノウハウと汎世
界法」が快適な世界を実現するという考え方は今も変わっていません。働く人間側に持っていたノウハウを機械に代替させて効率化をはかっていくことが推進されると、便利な世
の中になっていくのですが、それで働かなくて済むかというとそうならないところが痛いところ。機械に代替されても新しい仕事はどんどん増えてきますが、必要なスキルはさらに高度化していきます。もしくは、AIを学習させるためにデータを入力することだけが人間の役割というような存在。じゃ、そんなことやめましょうといっても、いずれ「誰かがやる」ところが人間の業。現代はヴォネガットが描いた未来よりもさらにディストピア感が増している感じです。

次の職探しのなかで、本当に自分が幸せをどんなところに感じているのか、見直す良い機会に巡り合いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2021年2月17日
読了日 : 2021年2月17日
本棚登録日 : 2021年2月17日

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