間違いだらけのTPP 日本は食い物にされる (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2011年5月13日発売)
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感想 : 18
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TPP、何だそれ?という当然の反問も許さず、日本人の前に唐突に巨大な選択肢として立ちはだかることとなった、その経緯の不自然さから、まず本書は説き起こす。前原前大臣の「農業はGDPの1.5%」という発言に象徴される「農業」対「非農業」という明らかにミスリードされた問題設定からして、全てを知っていながらあえて教えない、いかにして国民を丸め込むかに重点をおいた感のある不自然な議論であった。(本書を読み、今にして思えば、であるが)
詳細は本書をぜひ一読願いたいが、それにつけても不思議に思うのはこのような意図的な国民世論の丸め込みをあえて行おうとする人々の真の意図である。日本の国家指導者層(政・官・業・学・マスコミ界含め)のある部分は日本の国富を某大国に移転することでなんらかの個人的栄達や利益を相当に得ていると考えなければとても理解できない状況が出来している。慎重な著者はそういった陰謀論と紙一重の領域には決して足を踏み入れないが、その分だけ誰にも理解しやすい実証的な議論が展開されている。緊急出版だったためか校正が不十分だが、それも熱気のあらわれと好意的に捉えたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年3月9日
読了日 : 2011年5月29日
本棚登録日 : 2014年3月9日

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