宴のあと (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年7月22日発売)
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本棚登録 : 1860
感想 : 168
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三島由紀夫の作品に初めて触れた。三島由紀夫については全く知識はなく、自決した人くらいのイメージしかない。

その作品も荒々しいのかなと思っていたが、そんなことは全くなく、綺麗な風景描写、丁寧な心理描写、そして緻密なストーリー構成がなされており、とても素晴らしい作品だった。

かづと野口はお互いに持ちえないものを有しているからこそ惹かれ合い、自分のよさで相手を包み込もうしたのだろう。これが、相手の色を自分の色に変えるというものではなく、相手の色との違いを認めて違いに引き立て合うよう関わりがとれていたら、もっと違った形での結末があったのではと思う。
まぁ、そうなると著者が訴えたい世の中に対するメッセージなどは盛り込めなくなっちゃうんだろうけど。

もっと他の作品にも触れてみたいと思うことができたので、よい出会いだったと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月9日
読了日 : 2022年3月9日
本棚登録日 : 2022年3月9日

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