ルオ- (新潮美術文庫 40)

  • 新潮社 (1976年1月1日発売)
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本棚登録 : 19
感想 : 3
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ドリヴァルによるルオー。というよりも彼の作品に対する解釈のようなものです。ムックに近いでしょうか。ルオーに関しては後期の作品しか知らなかったんだと気づかされました。初期は非情に写実的といいうか、レンブラントの影響が明白に伝わる印象、その後自身のスタイルを模索していく感じでしょうか。色彩的には青を基調としてるところを見ると、セザンヌを意識している部分がうかがえます。このころはまだ何度も塗り重ねるような筆致ではないですが、次第にそちらに移り変わり、色調も青から黄へと変わっていきます。モチーフも娼婦、ブルジョワ、裁判官、道化師からキリストへと変わり、その情景へと移っていきます。ルオーの中での内面的な変遷、苦から救いへと信仰的に導かれていった軌跡がうかがえます。
 作品の後にドリヴァルによる短い解説があります。ルオーの人生における内面的な変遷は、そのまま作品として現れているといいます。キリスト者として目覚めたルオーは、人間の醜さ、弱さに目を向けます。それが娼婦、小ブルジョワ、道化師、裁判官などとして描かれて行きます。その後直接的な聖書にテーマを求めるようになり、特にキリストその人を描いていきます。そして後年には聖書の情景により、栄光と救いを描き続けました。とてもわかりやすい。そして個人的には共感の伴う、解説で良かったです。

14/6/25

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文化
感想投稿日 : 2014年6月26日
読了日 : 2014年6月26日
本棚登録日 : 2014年6月22日

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