上巻よりも集中して読めました。レヴィ=ストロースが相当過酷な実地調査をしたことが一読でわかる。思想的には自分とは反対ですが、ジレンマにさいなまれながらも文化人類学の進歩に使命感を持って進んでいることは尊敬します。正直最後の章のイスラム教と仏教に対する考察が一番印象深かったので、そこまでの部分とは別の読み物のように感じてしまいます。仏教→キリスト教→イスラム教と、五百年の隔たりをそれぞれたもちながら、時代の流れとともにその本質が退化しているとの考察になるほどと感心しながらも、納得はしていません。イスラム教の自家撞着ということをクローズアップしていたけど、結局信仰を持たずには宗教をどのようにも理解しえないので、やっぱりここもふに落ちません。「この地球は人類なしで始まり、人類なくして終わる」というのは何とも悲しい。使命感の熱も行き場がなく、上空を漂うようにゆっくりと温められながら、下がる温度に抗い息巻く本人が感じている本質はカタルシスか。
09/6/16
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
人類・生物学
- 感想投稿日 : 2009年6月16日
- 読了日 : 2009年6月16日
- 本棚登録日 : 2009年6月16日
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