顔に障害を持って産まれたオーガスト。
優しい両親と姉と愛犬に囲まれて暮らしている。
その“奇妙な顔”のせいで、不当な差別を受けてきたオーガスト。
嫌なことがあっても、優しい家族が守ってくれた。
けれどいつまでも甘えてるわけにはいかない。
多くの人がそうであるように、オーガストもいつかは1人で生きていかなければならない。
そしてその日はやって来た。小学校に入学するのだ。
************
まずは表紙のデザインがとても良いですね。
内容も良かったです。
主人公のオーガストは、自分の外見が変わっていることを理解しているけど、同時に自分の「中身」は他の人と同じ普通であると思っている利発な子です。
ヴィアがとても良いお姉ちゃんです。
オーガストの事が弟として大好きなんだけど、“奇妙な顔”のせいで「奇形児の姉」と言われることに傷つき、疲れている。
弟につきっきりの母親にも気を使い、甘えることを我慢している。
でもおばあちゃんだけがヴィアを「1番」だと言ってくれた。
そしてそんな自分の気持ちを「いけない感情」だと蓋をして、悩んでいる。
オーガストの友人のジャックもいいやつです。
この小説の良いところは、「良い人」ばかりじゃないところ。
優しいママもイライラすることもあるし、パパだってそう。
優しいお姉ちゃんも限界が来ちゃうこともある。
普通の御涙頂戴小説だと、顔が変だと言わずに「普通じゃん?」とか言いそうなんですけど、良い人も嫌な奴も、オーガストも、オーガストの顔が「変」ということは共通の認識であるんです。
変に隠そうとせず、認められているんです。
でも最初は変な顔だと思っている友人も、話してみるとオーガストの性格を好きになる。
いじめや暴力は理解できないけれど、自分の身近にオーガストと同じ症状の人がいた時、ヴィアやサマー、ジャックのように振る舞えるかな、って考えました。
きっと私には同じようにはできないと思う。
でもこの本のおかげで、少しだけでも読む前よりも偏見を無くして接せるようになれると思いたいです。
- 感想投稿日 : 2017年8月23日
- 読了日 : 2017年8月23日
- 本棚登録日 : 2017年8月17日
みんなの感想をみる