三日月の蜜 (まんがタイムコミックス)

著者 :
  • 芳文社 (2010年10月7日発売)
4.22
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本棚登録 : 253
感想 : 13
4

表題作を含む短篇集。全体を通して「普通とは異なる恋物語」が展開される。
表題作は女の子同士の恋愛、であるがそれが前提となっているわけではなく、互いにノーマルであったのにひょんなことから恋人になってしまう、という変わった設定。そんな設定から相手への罪悪感から来る距離感や微妙な気遣いとすれ違いなど、女の子同士であること以外の「普通とは異なる」面を利用することで単なる背徳感だけでない微妙な感情が描かれるのが実に興味深い所。
掲載誌の制約か、コマ割は常に4コマ基調だが、少しずつ異なる絵で動きを重要視して見せたり相手にかぶる台詞の見せ方などの表現が効果的な印象。
他の作品は短編として非常に短いのが多いが、完璧な決着を見せずに間を切り取ってその先も話が続いていくという余韻を残す話が多い。特に、最後に掲載された「間接、直接」は後が気になって仕方ない。
個人的に好きなのは「今夜は七夕」。彦星といえば相手に織姫がいるが、そこにあえて彦星側にいるお世話役の心情を中心に描く発想が非常に面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 知人
感想投稿日 : 2012年8月16日
読了日 : 2012年8月14日
本棚登録日 : 2012年8月15日

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