作品解説(カバーより):三十年前、顔を切り裂き、謎の自殺を遂げた天才画家・鷲沢絖。その妻の死体が、今ではゴミ屋敷と呼ばれている鷲沢邸から発見された。しかもその顔はどす黒く変色し、どろりと溶けていた。遺産相続人として母を指名された高林紗貴は、屋敷からある絵画がなくなっていることに気づく。作者はジョルジュ・ド・ラ・トゥール、約二百六十年の長きにわたり忘れ去られていた、フランス絵画史における最も謎めいた画家。計り知れない価値を秘めたその絵画の行方を探り始めた紗貴だったが、同時に周辺で不気味な出来事が起こり始める。年若い紗貴の恋人、相続を巡りライバル関係にある青年、姿を消してしまった絵画コレクターの父。いったい誰が味方で誰が敵なのか。ラ・トゥールと、見る者の心を揺さぶる鷲沢絖の断筆「顔を引き裂かれた自画像」。――これらの絵画に隠された真実とは。
この作品では絵画を題材に扱う難しさがにじみ出ています。単純に言えば「絵画」イコール「色彩や構成を愛でて楽しむもの」なので、この作品ではそれらをいかに上手く表現できるかが重要になります。しかし、「天才的な才能を持つ」鷲沢絖の描いた絵の素晴らしさが全く伝わってきませんでした。
フェアな展開とは言い難く、役者が出揃うのも遅いため悶々とさせられますし、ある程度ミステリーを読んでいる方なら容易に犯人像が割り出せることと思います。
「表」と「裏」に分かれた作品構成の「裏」の部分は楽しめましたが、それでもタイトル負けしてる印象は拭えませんでした。
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- 感想投稿日 : 2017年2月1日
- 読了日 : 2005年7月21日
- 本棚登録日 : 2017年2月1日
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