エイリアンの襲来で穏やかだった日常が崩れるなか、主人公の男の子は後ろの席の女の子との距離感が気になってぐるぐると迷妄に苛まれる。一言一句に至るまで綿密に計算された文章の構築力もさることながら、侵略SFを背景にした青春小説としてそれらを「同質」に描いた手腕が素晴らしく、最初こそ主人公の面倒くさい自意識バリバリの語り口に面食らうものの、侵略によってそれが正気を保つ日常の象徴へとシームレスにすり替わっているのが素晴らしい。唯一迷妄から解放された川辺でお弁当を食べるシーンは非常に胸に突き刺さった。傑作。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2019年5月30日
- 読了日 : 2018年10月31日
- 本棚登録日 : 2019年5月30日
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