原題は"Erika's Story"というらしい。
そこに副題として、「奇跡のいのち」と名づけたのはとても素晴らしく、訳者の愛がこもっていると感じた。
「お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです。」
という文がとても胸に突き刺さる。深く刺さって抜けない。どうしてこの文章が生まれたか、ぜひ手に取って読んでみてほしい。またこのお話は実話だというのだから、余計刺さるというもの。
平和な現代だって、いろんな事情で生き延びられない子どもたちはたくさんいる。
わたしたちのひとりひとりが、過去も未来も、すべて奇跡なのだと思うと、胸がぐっと熱くなったり、苦しくなったりする。
奇跡。なんて希望に満ちて、重たい言葉なんだろう。
訳者は「子どもも大人も一緒になって読み、一緒に考える本だ。」とあとがきを締めくくっている。
ほんとうにそう思う。
あと緻密で美しい絵も必見。
白黒主体の絵も、鮮やかな色をふんだんに使った絵も、どれも美しい。
死と生。
それは絵からも感じられる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童文学/絵本
- 感想投稿日 : 2022年5月31日
- 読了日 : 2022年5月31日
- 本棚登録日 : 2021年7月5日
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