「アナグマは、死ぬことをおそれてはいません。死んで、からだがなくなっても、心は残ることを、知っていたからです。」
自分の死よりも、残していく友達の悲しみを気がかりにする、年老いたやさしい物知りのアナグマ。
アナグマは死んでしまうけれど、アナグマのことが大好きなみんなで、それぞれアナグマとの思い出話をしていきます。
「みんなだれにも、なにかしら、アナグマの思い出がありました。アナグマは、ひとりひとりに、別れたあとでも、たからものとなるような、ちえやくふうを残してくれたのです。みんなはそれで、たがいに助けあうこともできました。」
穏やかに死を見つめるアナグマの目線。
アナグマの死について、思い出を語り合うことでやさしくアナグマがいたことと死んだことを肯定していくモグラやカエルやキツネやウサギたち。
こんなにもあたたかく、大切に死を見つめる絵本の、なんと素敵なこと。
文章も絵も、やさしい。
もし死ぬならアナグマみたいに死にたいし、大切な人を見送る時には、この物語を思い出したい。
出会えてよかった絵本です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童文学/絵本
- 感想投稿日 : 2023年6月8日
- 読了日 : 2023年6月8日
- 本棚登録日 : 2023年6月8日
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