前書きと末尾の文で述べられている「人を見る」という、近年失われつつあるように感じていた観点について改めて見直したくなった。
専門的な金融用語や、登場人物が多岐に渡ることもあり、読み進める間隔が空くと内容の理解を取り戻すのに少し時間がかかるが、内容自体はとても興味深い。
本題からは逸れるかもしれないが、著者が述べている途上国支援について、現在中国がかなりの投資をアフリカで進めていることや、日本国内でのデジタル産業への移行が90年代に技術力を誇っていたにもかかわらず遅れていることなどを考えると、分野に限らず日本社会における先行投資を行っていくことの難しさを改めて感じさせられた。
個人的に日本は世界各国から仲裁や支援をする役割を期待あるいは要求されているように感じるが、なかなか著者のようにはっきりと意見を主張したうえで、物事に臨んでいくということが見えづらい(だからこそそのような役割を求められているのかもしれないが)。水面下で実際には行われていることも多分にあるだろうが、本当の「中立」とはどのようなものなのか改めて考えさせられた。
増補部分において記載されている「世界はいまだ力が支配している」という記述が、現在の世界情勢とリンクして重く響いた。
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- 感想投稿日 : 2022年4月16日
- 読了日 : 2022年4月14日
- 本棚登録日 : 2022年4月15日
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