イスラム飲酒紀行 (SPA!BOOKS)

著者 :
  • 扶桑社 (2011年6月25日発売)
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感想 : 31
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ミャンマー北部でアヘン栽培をする集落に住み、実際にアヘンを栽培したルポ『アヘン王国潜入記』で高野秀行を知った。『アヘン王国潜入記』は全てがべらぼうに面白いのだが、戦後生まれの日本人が書いた文章で、これほどアヘン中毒になる様を生々しく書いた書籍はないだろう。

さて、その高野氏だが、当然日本に戻ってからは違法薬物であるアヘンを吸うことはできない。その代わりに頼るようになったのがアルコールである。

しかし、「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」ライターである高野氏はイスラーム圏にも行くことが多い。そこで困るのが酒の調達だ。

イスラームではアルコールは禁じられている。しかし、イスラーム社会は本音と建前の社会でもあり、意外と簡単に酒が手に入るという。その顛末を描いたのが本書だ。

特に面白いのは、イランではスーフィーが異端とされた結果、一部のスーフィーは「俺達はムスリムではない」と飲酒をするようになったという部分だ。イランという厳格なイスラーム国家の内側でしか見ることのできない光景だ。

しかし、高野氏は「簡単に」酒が手に入ったと言っていたが、それは高野氏のフットワークの軽さによるものだろう。普通の一般人には真似できそうにないので、大人しくイスラーム圏では酒を我慢したほうがよさそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 紀行・旅行
感想投稿日 : 2020年2月23日
読了日 : 2020年2月23日
本棚登録日 : 2020年2月17日

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