★2016年11月24日読了『親鸞 激動篇(下)』五木寛之著 評価B
雨乞いの法会での願いは届き、雨は豪雨となって降り注ぐ。親鸞は命を奪われる危機を脱したものの、強欲な守護代戸倉兵衛は、豪雨で溜まった堰き止めた水を一気に決壊させて、河原に住む外道院を追い払う策に出る。間一髪、危地を脱した外道院たちは、廃船を使い洪水の流れに乗って越後を去る。
その後、親鸞たちは外道院たちが去って面倒を見るものがいなくなった病人などを診療する施術所を開設する。しばらくは幸せな日々を送っていたが、京の法然上人死去の知らせが入り、親鸞は衝撃を受ける。そして、これからは自らが念仏の道を指し示す先達とならねばならないことを自覚する。関東宇都宮氏の招きもあり、親鸞一家は関東常陸の国へ移住する。念仏信仰を親鸞の考えるやり方で焦らず徐々に広げていく。とうとう親鸞も60歳を過ぎ、関東をでて、京都に戻る気持ちが芽生えてくる。いよいよ自らの念仏信仰をまとめる時期となる。
小説としては、五木氏らしくエンターテイメント性もしっかり網羅して、面白く読ませてくれる。
それを、宗教家の親鸞の物語として相応しいかという議論はあるにしても、それでも多くの読者に親鸞を知らしめて読ませてしまう五木氏の巧みさには舌を巻く。さすが希代のベストセラー作家ではある。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史小説
- 感想投稿日 : 2016年11月27日
- 読了日 : 2016年11月24日
- 本棚登録日 : 2016年11月24日
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