★2011年33冊目読了『毛沢東秘録(上)』産経新聞社取材班 評価B+
中国建国50周年の1999年前後から文革期の内部資料や回想をもとにした著作物が数多く出版され、それらをパズルのように組み合わせ読み解くことで、当時中国の中枢部で何が起きていたのかを浮かび上がらせるノンフィクション。
我々日本人には、ベールに包まれていた当時の中国国内での実像らしきものが、見えてくる。大躍進政策の誤りを認めつつも、自らの権威が侵されることを嫌う毛沢東が、如何にして文化大革命が始められ、劉少奇を断罪し、失脚させる状況が語られる。また、まず最初に、毛沢東の死後、その権力奪取を狙う四人組と華国鋒、鄧小平と軍長老らの激しい内部闘争の実像も明らかにされる。
どこまでが真実かは、分からないけれども、少なくとも言葉だけで知っていた文化大革命がいかなるものであったのかは、よりくっきりと実像が見えた気がする労作である。
上巻は第1部このシリーズで描く時間軸とは逆に、1976年9月の毛沢東主席死去後、四人組が権力闘争に敗れ、逮捕されるまでの政権内部での闘争過程を描く。
第2部は10年遡り、文化大革命が如何にして始められ、なぜそれ程までに激しく展開されなければならなかったのかを描く。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
中国現代
- 感想投稿日 : 2011年7月17日
- 読了日 : 2011年7月16日
- 本棚登録日 : 2011年7月16日
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