「スピノザの診察室」の流れで、順序が逆でしかも遅ればせながら夏川草介さんのデビュー作に辿り着いた
スタンスは同じ
医師不足の現状や地方医療のあり方、延命治療の是非など問題提起も
大学病院の医局と地域医療を支える地方の病院
5,6人の医師が1チームを構成し、患者5,6人を担当し、症例を議論し、治療方針を検討、最新式の医療機器で治療していく大学病院に対して、1人で40人もの患者を診察する地方の病院
どちらも大切ですがどちらも必要
個性豊かな病院スタッフ東西さんや水無さん、大狸先生に古狐先生
御嶽荘の面々、チャーミングで栗原一止先生の一番の理解者である妻の榛名さん
彼らは、ともすれば胸が痛く、緊張を強いられ、病に侵されているような気になってしまう類の小説でありながら、心地よい風を感じさせてくれる小窓的存在だった
「ただでさえ医者が足りねえご時世だ。それがこぞって最先端医療に打ち込んだら、誰が下町の年寄りたちを看取るんだ?俺たちはそれをやっている。残念ながらひたすら死にいく年寄りたちを看取る仕事が好きな奴は少ないから、こういう病院は慢性的医者不足で、見てのとおり多忙を極める」
「しかし、栗ちゃんは、意外と嫌いじゃないだろ、こういう医療」
大狸先生に見事言い当てられる一止先生
夏目漱石かぶれの変人だが、とにかく優しく人間が好きなのだ
大学病院から見放され途方に暮れていた安曇さんの最期を看取った一止先生
安曇さんの感謝の手紙に、一止先生同様、涙が止まらなかった
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月23日
- 読了日 : 2024年2月23日
- 本棚登録日 : 2024年2月22日
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