本屋さんのダイアナ

著者 :
  • 新潮社 (2014年4月22日発売)
4.16
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本棚登録 : 5337
感想 : 683
5

おもしろかった!
柚木麻子さんはアッコちゃんシリーズが代表作だと思うけれど、
私的にはこの本の方がよかったな
女性というのは、( もしかしたら男性も?) いくつになっても、きっかけがあれば、ポーンとたちまち少女時代に戻れるんだなというのをこの本で実感した
「赤毛のアン」や「若草物語を」読んで、想像の世界で遊んでいた少女時代が蘇ってきて、読み始めるや否や、ガシッと心を掴まれ虜になった

本が大好きで、本としか向き合えなかった孤独な少女ダイアナ(大穴)、金色に染められたパサパサの髪の痩せっぽちの女の子が彩子と出会ったことにより、憧れていた世界を知り、輝き始める
聡明な両親の愛情をいっぱいに受けて育っていた彩子もまた、ダイアナを知ることにより、全く未知の世界を知り、輝き始める

しかし、よくあるふとした誤解から二人の関係は途絶え、全く別の道を歩むことになるが・・・
二人の人生の支えになってくれるのは、二人が大好きな本「 秘密の森のダイアナ」
折につけて、その中のフレーズに自分を投影させながら、大人になっていく

そして、15年後・・・

周囲の押しつけや思い込みに縛られて、知らず知らずのうちに自分で呪いをかけている自分に気づき、自分の手で呪いを解き、本当の自分の生き方を見つけていく二人のダブルヒロイン物語

ダイアナが上品で落ち着いた彩子の両親や家庭に憧れる様子や彩子がビーズやシールで彩られたダイアナのアパートの部屋に憧れる様子が生き生きと描かれていて、おもしろかった

ダイアナ、彩子それぞれの親の子育てぶりは、正反対でありながら、お互いの環境の違いを認めあっているのも好ましかった
大学生になってからの彩子の変わりようは、あまりにドロドロしていて、同じ本の中身とも思えなかったが、ちゃんと落ち着くところに収まったかな

15歳でダイアナを産んだヤンキーのシングルマザーティアラの見た目のキャピキャピさとは裏腹の地に着いた自由で柔軟な考え方に感動し、ティアラのファンになってしまった

子供の頃や青年期に読んだ本がたくさん登場するのも嬉しいし、
図書館や彩子の家の壁一面の本棚、ダイアナが念願の書店員になった書店隣隣堂など至る所に本・本・本が出てくるのも本好きにはたまらない






読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月25日
読了日 : 2019年12月25日
本棚登録日 : 2019年12月24日

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