まほろ駅前多田便利軒

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年3月28日発売)
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東京の外れにあるまほろ市の駅前にある多田便利軒

引っ越しの手伝い、犬の散歩、車での送迎から庭の草引きまで何でも請け負う便利屋を営む多田の所へ転がり込み居候を決め込む高校時代の同級生行天

二人といろんな仕事を持ち込む依頼人との悲喜こもごもの物語 依頼人のキャラもバラエティーに富んでいて愉快だ

二人の会話はとてもお気楽そうなのに、それぞれが心に深く暗い闇を抱え固く閉ざして、入り込むことを拒絶している
仕事はとても丁寧だけど、顧客とはそれ以上でもそれ以下でもない 誰も寄せ付けずいつも孤独な多田

無気力で勝手、他人も自分の存在すら認めてない行天

まだ若いのに一体何があったのだろうと気になりながら読み進めた

いろんな事件や仕事をこなしながら、お互いがなくてはならない存在になっていく過程は、読者にとってもうれしい

「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」

「いくら期待してもおまえの親が、おまえの望む形で愛してくれることはないだろう。だけど、まだだれかを愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形でおまえはだれかに与えることができるんだ」

二人の口から発せられる言葉もかっこいい

少しはお互いの存在を認めあうことができた二人の今後は、次巻のお楽しみということで

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年8月29日
読了日 : 2021年8月28日
本棚登録日 : 2021年8月27日

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