まほろ駅前番外地

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年10月15日発売)
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感想 : 818
5

このシリーズ大好きだ
また多田・行天コンビに会えた

どうしてこのシリーズが好きなんだろう?と考えた 
多少の差はあれ人間誰しも陰陽両面を抱えている 
生真面目な多田と破茶滅茶な行天の漫才コンビのようなおもしろさもさることながら
多田・行天二人の陰の部分が読者を切なくさせ、放っておけない気にさせるのではないだろうか

あれから二年
実直に仕事をこなし少しずつ業績を伸ばしつつある多田 
仕事はチャランポランだが、金剛力士像の吽形みたいな肉体を手に入れようと筋トレに励む行天

二人とも相変わらずのようだが、横中バスの間引き運転を疑って止まない岡さんの奥さんは、多田の微妙な変化にちゃんと気付いている
寡黙でどこかさびしげだった多田の口数が増え表情が豊かになったと

しかし、子守の最中に見せた今まで見せたことがなかった行天の豹変ぶり 少しは行天のことを分かった気になっていたが、何も分かっていなかったと気づく
行天が暗いなにかを抱え、必死になにかと戦っているのだとはじめて心から知った多田

前作で、幼い我が子を亡くした深い傷を負う多田に行天がかけた言葉

『すべてが元通りとはいかなくても修復することはできる』

今回は多田が心の中で、行天に同じ言葉をかけている

ますます目が離せない二人の絆、傷は完全に消えることはなくても、カサブタとなってポロリと剥がれ落ち、前を向いて歩けるようになって欲しいなと願うばかりだ

シリーズ第三弾へ


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月4日
読了日 : 2021年9月4日
本棚登録日 : 2021年9月3日

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