多田便利軒シリーズ第三弾
ようやく前を向いて歩き出せそうな気がしている多田
明るいもの、温かいものを求める自分を許し、亜沙子に不器用ながらも自分の思いを伝える
こんな心境の変化は、同居して2年が経つ行天の素っ頓狂さにも一因があるのだろう
そんなところへ1ヶ月半行天の子供はるを預かるという依頼がはいる
はるを預かることで、過去に怯え前に踏み出せないでいる自分も行天も、何かが変わるのではないかと期待する多田
二人の男が恐々4歳の女児を可愛がる様子がとてもほほえましい それぞれが全く別の可愛がり方ではあるけれど
今までの総決算のように、登場人物がそれぞれの事情を抱えてまほろ駅前南口ロータリーに結集する様子は、ドタバタ喜劇さながらで、恩田陸さんの『ドミノ』を思い出してしまった
そして、多田が信じた通り、行天は子供に無闇に暴力をふるう輩ではなく、それどころか自分の身の安全すらそっちのけで守りきる男だった
裕弥に言った行天の言葉がそれを物語っている
「正しいと感じることをしろ。だけど、正しいと感じる自分が正しいのか、いつも疑え」
「苦難と騒動がひとを大きくする」という曽根田のばあちゃんの言葉通り、ひと回り大きくなった多田と
便利軒の隣に探偵事務所を開いた行天の今後がまだまだ
読みたい
すっかり二人のファンになってしまった
ぜひ、後日談を!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年9月6日
- 読了日 : 2021年9月6日
- 本棚登録日 : 2021年9月4日
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