まほろ駅前狂騒曲

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年10月30日発売)
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多田便利軒シリーズ第三弾

ようやく前を向いて歩き出せそうな気がしている多田
明るいもの、温かいものを求める自分を許し、亜沙子に不器用ながらも自分の思いを伝える
こんな心境の変化は、同居して2年が経つ行天の素っ頓狂さにも一因があるのだろう

そんなところへ1ヶ月半行天の子供はるを預かるという依頼がはいる

はるを預かることで、過去に怯え前に踏み出せないでいる自分も行天も、何かが変わるのではないかと期待する多田

二人の男が恐々4歳の女児を可愛がる様子がとてもほほえましい それぞれが全く別の可愛がり方ではあるけれど

今までの総決算のように、登場人物がそれぞれの事情を抱えてまほろ駅前南口ロータリーに結集する様子は、ドタバタ喜劇さながらで、恩田陸さんの『ドミノ』を思い出してしまった

そして、多田が信じた通り、行天は子供に無闇に暴力をふるう輩ではなく、それどころか自分の身の安全すらそっちのけで守りきる男だった

裕弥に言った行天の言葉がそれを物語っている
「正しいと感じることをしろ。だけど、正しいと感じる自分が正しいのか、いつも疑え」

「苦難と騒動がひとを大きくする」という曽根田のばあちゃんの言葉通り、ひと回り大きくなった多田と
便利軒の隣に探偵事務所を開いた行天の今後がまだまだ
読みたい 

すっかり二人のファンになってしまった

ぜひ、後日談を!





読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年9月6日
読了日 : 2021年9月6日
本棚登録日 : 2021年9月4日

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