つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫 よ 18-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2005年11月10日発売)
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感想 : 797
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大人の軽ーい小説、気を張らず読めて、独特の空気感がたまらなく心地よい

日本の商店街の一角のお話なのに、外国の小さな町の洒落た小さなレストランのお話のような感覚さえした

帽子屋の桜田さん、雨を降らせる研究をしている先生、女優の奈々津さん、古本屋のデ・ニーロの親方、果物屋
つむじ風食堂で交わされる意味ありげで、実際のところ何の意味もない会話が楽しい

それぞれの人が、ここが憩いの場なのだろう

特に、父に連れられ訪れていたタプラさんのエスプレーソのお店、何十年かして訪れ、二代目タプラさんと対面する場面、最後タネも仕掛けもなく、父の舞台衣装の袖口が跡形もなく消え去った場面が好きだ

「もし、電車に乗り遅れて、ひとり駅に取り残されたとしても、まぁ、あわてるな。黙って待っていれば、次の電車の一番乗りになれるから」

一代目タプラさんの言葉、しみじみといいなと思う
ガツガツ慌てたり、焦ることなんかないんだと

小川洋子さんとクラフトエブィング商會共著の「注文の多い注文書」は読んだことがあるが、クラフトエブィング商會というのが吉田篤弘さんと奥さんの吉田浩美さんのユニットだったと、初めて知った

吉田篤弘さんとしては、初めて読む作品
この月舟町シリーズを読み終えたら他の作品も読みたくなった

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月23日
読了日 : 2021年1月23日
本棚登録日 : 2021年1月21日

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