ドグラ・マグラ(上) (角川文庫 緑 366-3)

著者 :
  • KADOKAWA (1976年10月13日発売)
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再読したくて探したら行方不明に(T ^ T)
その為、再度購入σ^_^;

 日本ミステリ界の三大奇書。(『匣の中の失楽』も合わせて四大奇書と言われることもあります)
 読むと精神が崩壊する等々。

 私が目を覚ました時、記憶を失っていた。隣の部屋からは女性の声で『お兄様』と呼びかける声。
 ここはどこで、私は誰で、どうして、こんな場所に閉じ込められているのか……。
 そこから始まるのは奇書にふさわしい物語。

 初めて読んだときに思ったのが、ミステリの概念とは?

 記憶を失った私が閉じ込められているのは精神病院で隣にいるのは私の許嫁だというところから物語ははじまります。

 そこまではいいのですが、私の記憶を戻すために精神科医の若林博士から渡された小冊子である『キチガイ外道祭文』が読み返すたびに凄いなぁ。

 ここで繰り返される『オノマトペ』の効果とまるでお経のような文章を延々と読んでいくと、わけがわからなくなるのは当然とも思います。ですが、私はこの『オノマトペ』の使い方が強烈で好きなんですね。

 天才的な感覚で使われているこの『オノパトペ』、読んでいる方はそれに取り込まれていくような気がしてもおかしくはないと思うんですよね。

 そして、殺人事件に自分が本当に関わっているのか、隣にいるのは本当に己の許嫁であるモヨ子であるのか、正木博士は変死を遂げていながら、どうして自分を若林博士に託したのか等々。

 何回か読んでますが、読み終えたときに答えが出なくてもいいのかもしれないのかもしれないということかもしれないです。

 これは『虚無への供物』を読んだときも思いましたし、『匣の中の失楽』もそうなのかもしれないなぁと思ったりもします。

 ほぼ同時期に読み始めた埴谷雄高さんの『死靈』は形而上文学と言われる作品ですが、『ドグラ・マグラ』と表裏一体の作品なのかもしれないなぁと思う時もあります。共に20代の時に出会ってますからね。手当たり次第に本を読み始めた時期で、そこからいろんな影響を受けていた時代です。(こちらはミステリではないですし、ドストエフスキーの影響を強く受けている埴谷さんらしい作品です。でもドストエフスキーとは私は相性が悪いんですよねぇ~)

 因みに『死靈』は当時出たばかりの村上春樹さんの『羊をめぐる冒険』と比較されている評論を読んで、読み始めました。未完になってしまいましたが。

 そんなことを思い出しながら再読を終えました。

 面白かった(*^^*)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年7月7日
読了日 : 2022年7月7日
本棚登録日 : 2022年7月7日

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