プロタゴラス: あるソフィストとの対話 (光文社古典新訳文庫 Bフ 2-1)

  • 光文社 (2010年12月9日発売)
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感想 : 44
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やや毛色の違うプラトン対話篇。
他の対話篇とあわせて読むことで面白さが増すと思う。


大抵のプラトン対話篇では、劇中のソクラテスの言葉が執筆時のプラトンの思考に近いものとして受け取って読まれる。
だが、この『プロタゴラス』でもそうだとは単純には言えない。

「快は、その帰結などを考慮しなければ、それ自体としては善いものである」
「善い快と悪い快の区別はない」
「快苦の大小を現時点からの遠近などで惑わされず(いわば幾何学的に)計算する技術としての知識」
他の対話篇での記述と整合させるには一手間かけないといけないような、これらの記述があるからだ。

しかも、これらは「大衆が同意してくれるか」という点で見解の妥当性が問われている。
いつもの劇中ソクラテスなら対話者と同意が得られるかどうかを問題にするだろうに。


他のプラトンの対話篇との整合性はおくとしても、当時の知識人たちの知的な遊戯を味あわせてくれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 古典(哲学)
感想投稿日 : 2022年6月12日
読了日 : 2022年6月9日
本棚登録日 : 2022年6月10日

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