ジェンナ 奇跡を生きる少女 (SUPER!YA)

  • 小学館 (2012年2月8日発売)
3.78
  • (9)
  • (19)
  • (17)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 160
感想 : 27
4

「価値観は変わる」ということを印象付けられた読後感だった。

ジェンナは事故の影響から一年半も眠り続け、目覚めるが記憶喪失になっている。
分からないことだらけの現実の中で、真実を見つけようともがく17歳の少女。
SFと推理小説と青春小説と家族の再生の物語。

薄暗い不安定な闇の中を手探りで進んでいくような感じ。
仄暗く重たい重圧に、最悪の結末を想像をして気が重くなる。
それでも、紡がれる言葉のシャープさや、ジェンナの率直な感情に、瑞々しさと力強さを感じ、読み進めることが出来た。
友情、恋愛、家族…ひとつも余すことなく描かれ、それらが絡み合って、この作品の世界を形作っていく。
母親との関係は、この特殊な状況の彼女らでなくとも誰しもが少なからず抱いているものだと思うし、共感や想像できるものだと思う。
祖母のリリーの存在感が卓越している。愛する娘の願いと自分の倫理観の狭間で悩み、また愛する孫娘への愛情とジェンナへの思い…、凛とした婦人として描かれる彼女の言動には惹かれるものがあった。

結末は思わぬ方向へいったが、そうきたか、とこれは嬉しい誤算だった。
なにせ私は重苦しい物語が苦手なのだ。そして冒頭の感想へと至る。
SFが好きな男子生徒に薦めてみようと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: YA
感想投稿日 : 2018年11月23日
読了日 : 2018年11月23日
本棚登録日 : 2018年11月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする