空は青く澄みきっていた。
教壇では歴史の教師が午後の眠りを誘う声で話していた。
クラスの何人かは眠っていた。
教室が小刻みに揺れて、窓の枠が音を立てた。
重たい音の波が上から下へと突き抜けていった。
ぼくは窓のほうに身を乗り出して空を見上げた。火球を見た。
突然飛来した謎の火球は、八幡山に落下し、深く巨大な穴を残して消える。
ほどなくして、ぼくの住む町のあちこちで、大規模な陥没が起こる。
少しずつ、町は地面に飲み込まれていく。
破滅の気配がする。
それでもぼくは、中間試験のことが気になっている。
日常と非日常が次第に溶けあっていく。
それでもぼくは、久保田との距離が気になって仕方がない。
彼女を見つめ、ゆるやかに距離を縮めながら、最後の一線は越えることなく、この状況を制御し、迷妄を乗りこなそうとしている。
静かに迫る危機を前に、高校生のぼくが送る日々を圧倒的なリアリティで描く、未だかつてない青春小説。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年8月12日
- 読了日 : 2015年12月30日
- 本棚登録日 : 2015年12月30日
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