『○○の世界史』系の本にありがちな、歴史から筆者が語りやすい部分のみを並べた簡易まとめ本。
対象読者層を広くとったせいか、肝心の簿記会計手法の進化や変遷にはあまり触れられず、それにまつわる人と歴史を語ることに終始する。
筆者の視点から見れば、オランダは複式簿記の力で一時代を築き、フランスは会計を軽んじたせいで革命に至り、ウェッジウッドのような成功した企業は会計を正しく扱い、エンロンのような事件は会計会社がコンサル業にうつつを抜かしたせいで起こった。
端的に言えばどれも歴史を持論に引き寄せて語っただけで、例えば鉄道会社が大規模な会計処理を如何に克服したのかは本書から学ぶことはできない。
そのような本書であるからこそ、オチが『絵画から文化的な高い意識と意志を取り戻そう』となるのも頷ける。
もちろん意識と意志を否定するわけではないが、それをつちかうための論理的な歴史考証こそ、学問が担うべき領域だろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年10月10日
- 読了日 : 2016年10月10日
- 本棚登録日 : 2016年10月10日
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