上巻とは打って変わってミステリー要素の濃い内容になってきます。娘の事故の真相が徐々にわかってくるにつれてヴァイオレットがフィリップへのことを理解していきます。
「あの人はちっとも恵まれてはいませんでした。いつも孤独で不幸だったんですもの・・・。そんなに不幸にならなくてもいいと思うくらいに・・・。」
最後にフィリップはなんかかっこいい描かれ方をしていますが、クズらしく女性とバイクのうちバイクを選びます。彼の役割は何だったのか。女性を不幸にするのが役割だったのですが、ヴァイオレットに新しい人生を始めるためのきっかけを与えるのが本当の役割だったのではないでしょうか。
ヴァイオレットは娘の事故の真相をなんとなくつかみことで過去と決別し、イレーヌ・ファヨールの日記で人を愛することの意味を知ります。さらに、サーシャの導きで墓場の管理人という天職を見つけます。サーシャはこの指輪物語でいえばガンダルフのような、ヴァイオレットを助けるためだけに生まれてきた男は役目を終えたら舞台からいなくなりました。あとはヴァイオレットが自分の人生を生きるだけになりました。
踏切の管理人から墓場の管理人に転職するというとんでもない物語であり、フランス人の考え方にびっくりして、さらにフレンチジョークで笑ってしまうという小説でした。いくらなんでも悲惨すぎる人生からの復活、そこにはかなりの偶然と強い意志があるのだということでしょう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年5月1日
- 読了日 : 2023年5月1日
- 本棚登録日 : 2023年4月7日
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