ズートピア MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

監督 : バイロン・ハワード  リッチ・ムーア 
出演 : ディズニー 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
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本棚登録 : 1312
感想 : 198
5

私たちはいつも何かをカテゴライズしたりラベリングしたりして、そのカテゴリーやラベルで勝手に決めてかかっているところがある。"分類"をもって"個"を決めつけることは差別そのものであり、差別はいけない、などと言っている人も実は無自覚に差別している。誰かの意図で流された印象操作に、その流れに流されるがままに無批判に乗っかって、気付けば自身が差別を助長する立場になっている。これは情報の波に実質溺れている私たち現代社会そのものであるが、ズートピアはその危険性がとても良く描かれた作品であり、文字通り「種を超えて」認め合うことの大切さ、素晴らしさを投げかけてくれている。純真で正義感にあふれるジュディさえも、肉食動物のラベリングによる先入観があって、自身も実はそれに気づいていなかった、ということを知る。肉食動物が凶暴化しているという事例をもって、草食動物による肉食動物全体への迫害が始まり、しかしそれは草食動物である市長秘書が仕組んだシナリオで、彼女の思う壺であった。弱者を自認していた草食動物たちはそのことに気づかず、「正義」を振り翳していた。
そして、小賢しいことをしていたニックにも、そこに至るまでの物語があるわけで、その一場面だけを見て「けしからん!」と石を投げるのは、実は間違った正義なのだと気付かせてくれる。
見れば見るほど、この情報化社会で生きるためのリテラシーを体得せずにテクノロジーだけが進歩してしまった私たち人間社会の危うさが、ズートピアというまさしく多種多様で豊かで楽しい動物社会に投影されているようで、これはもう題材が素晴らしいと言わざるを得ない。しかもこれだけ楽しい物語にそういう教訓を散りばめているのだから、ディズニーの哲学と技術の素晴らしさにひたすら称賛と敬意を表したい気持ちである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月14日
読了日 : 2023年6月14日
本棚登録日 : 2023年6月14日

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