今日は少し読んで…と眠る前に手に取ったのですが、全体に漂うネガティブ感に押され、一気に読みきってしまいました。<BR>
春の午後、惨殺された一人の主婦の死とその犯人捜査をきっかけに、登場人物の生活と心の中が描かれていきます。幸せなことや嬉しいことばかりではなく、傷つけられたことや悲しいこと、涙、怒り、死…と様々な負の感情が人生においていかに多いかということを真正面から突きつけられる作品です。<BR>
そうしたマイナスの中から題名である「人間の幸福」が問われるこの作品は重たいと思うのですが、私は一冊読みきる数時間の間にものすごくたくさんのことを考えさせられました。
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泣いていたり、怒っていたりするときに、自分がどうしようもなく可哀想に思えてしまうことがあるんです。<BR>
身勝手だとは思うけれど、喧嘩の相手の落ち度ばかりが目立ってしまったり、泣いているという事実で冷静な判断を欠いてしまうことが恥ずかしながらあります。<BR>
そんな時の相手への怒り、そしてその後の自分へ戻ってくる怒り…そんな気持ちがストレートに描かれている作品には最近あまり出会っていなかったので新鮮に感じられました。<BR>
奇麗事と言うのは極端ですが、やさしい言葉であたたかく綴られてる話に触れることが多かったので、頭をガツンと殴られたようなそんな気持ちです。<BR>
何度も言うようですがなかなか重たいので(苦笑)一気に読むことをオススメします。
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(2004年5月3日)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
男性作家
- 感想投稿日 : 2007年9月12日
- 読了日 : 2007年9月12日
- 本棚登録日 : 2007年9月12日
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