原作は、桜庭一樹さんで、遠い昔に読んで衝撃を受けたことを記憶している。
原作は、現在から過去へと遡っていく逆時系列で、その相乗効果もあって、父娘の固い絆を感じれた。
映画は、順時系列で構成されており、それはそれで良かったような気もするし、逆時系列の方がより良かったのかもしれない、という半々の気持ち。
映画を見る前から、拍手喝采を送りたいぐらい納得の配役。
少女のようなあどけない無邪気さと、少女から急に女の顔へと化ける妖艶さを演じることができる、この難しい役を演じれるのは、私も二階堂ふみさんしか思いつかない。
浅野忠信さんも、イメージ通りのすごく格好良くて、同時にすごくカッコ悪い男を演じてて、素晴らしかった。
北海道の雪景色と流氷がすごくふたりの世界観に合っていた。
しんしんと降り積もる雪背景や、その静けさの中でキィキィと不気味な音を立てる流氷の音、凍えるような寒さの中で無性に人肌が恋しくなるこの環境が、余計にふたりの絆を深めていったように気がする。
これは、原作では味わえなかった感覚。
経験したふたりにしか到底分からないであろう、歪んだ愛。
絶つことのできない強固な繋がり。
その確かな愛を守るためには、罪だって犯してしまう。
そしてその罪が、ふたりの絆をより一層深めてしまう。
最後のほうの花は、嫉妬心にかられる淳悟をただただ楽しんでいる悪女のようにも見えるし、淳悟の嫉妬心を呼び起こしてどん底から生きかえらせようとしてるようにも見える。
まるで、淳悟の彼女に嫉妬していた幼い頃の自分のように。
- 感想投稿日 : 2021年1月1日
- 読了日 : 2021年1月1日
- 本棚登録日 : 2020年12月31日
みんなの感想をみる