ケインとアベル 下 (新潮文庫 ア 5-4)

  • 新潮社 (1981年5月27日発売)
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感想 : 88
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以下、物語をふりかえるための備忘。
・アベルの人生は、初めから危機一髪。生まれた時から九死に一生を得る。
・ロスノフスキ家はポーランドの名家。アベルもポーランドを誇りにもてるように育つ。
・ドイツとオーストリア=ハンガリー帝国に締め付けられたポーランドの運命が、アベルの運命と重なり、彼の人生に大きく影響。ヴワデクのときのアベルの運命たるや悲惨の一言。
・ケインの方の投資力の磨き込みはすばらしい。きっちり帳簿をつけるということやきちんと銘柄を分析することなどの規律が大切。投資をする上では、確かに高い資本回転率、高い成長率、信頼のおける資産の裏付け、有望な取引といった条件を満たす銘柄をいかに見つけるかといったことが効果的。
・ケインの方も、実は悲惨な境遇。父を亡くしただけではなく、その後、未亡人となった母親がどうしようもない男にひっかかって死んでしまう。しかし、ケインは順調にハーバードへ行き、個人口座100万ドルを21歳までに増やした。
・アベルも、ついにアメリカに渡り、勤勉に働き、学び、プラザホテルからリッチモンドコンチネンタルの副支配人になる。裏からのケインのサポートによりアベルはホテル王への道を歩む。
・他方で、ケインも親友の父からアポイントを受けてレスター銀行頭取就任。就任時の取締役会のハンドリングが見事。
・その後、2人の間で、醜い互いの応酬が繰り返される中で、アベルの娘、ケインの息子が恋に陥る。互いの親は激怒し、2人は家を出る。
・アベルが逮捕され司法取引で釈放、その意趣返しで、ケインがレスター銀行頭取辞任させられる羽目に。
・最後は、フロレンティナとその息子のウイリアム・アベル・ケインに託される形で物語が一旦終わる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学 小説
感想投稿日 : 2021年3月21日
読了日 : 2021年3月21日
本棚登録日 : 2021年3月21日

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