豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫)

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再読

高校生以来の再読。
これでもかの怒涛の美文。
ブンガクを、ミシマを読んでます、って
顔して、エロスに鼻息荒くしてたであろう若かりし頃。

今となってはそんな思想は古臭いしパワハラ的?かと
思うんだけど、25年くらい前は確かに処女童貞なんて人間以前、
というムードがあり。
私も(子供のくせに、子供がゆえに?)その通りなんだろうな、と思っていた。

だってさ、清顕が聡子にちょっと揺さぶられたくらいで
「どどど童貞ちゃうわ!女なんてみんなビッチ!」
て手紙を送りつけて(しかも勢い任せに書き殴ったのならまだ可愛げあるのに、
何度も書き直して練った表現で…)
シャムの王子達に恋人として紹介しないといけなくなったから
「読むなよ!絶対読まずに燃やせよ!」と慌てて電話して。
読むに決まってるだろそんなん。
こういう、拗らせ童貞の右往左往、イキり、潔癖を
覚えがあるようなないような、でウワーと思いながら
読まされたら、そう思うって、、、。。

もっと早く行動を起こしてたら、気持ちに気付いてたら
こんな事にはならなかったのに、とは思えず。
これはなぁ、性癖だから、好みだからどうしようもないのよな。
清顕と聡子はああいう形でしか結ばれなかった。
それはもう仕方ないんだよなぁ。

そして、かつては怖〜、おぞましい…と思ってた
蓼藍。
もう今完全にこっち。このポジション。
伯爵が血迷って…のところもあ〜…あるかもなぁ、だし。
清顕と聡子の仲立ちも、まぁ忠義だけじゃないよね…
若き2人のエネルギーをごっつぁんですしちゃう感じ、
わかる、正直わかる…。
散らない老醜にもそれなりの趣きがあるものでして。

豊饒の海は春の雪だけしか読んでなかったので、
この際全部読もうかな。 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説-日本
感想投稿日 : 2020年1月9日
読了日 : 2020年1月9日
本棚登録日 : 2020年1月9日

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