2011年に書かれた本だけあって現在の思想とはずれがあるものの、独自の個性を持つことに勇気をくれる本だった。
自分が商品になること、突き進む対象を絞ることでブランドが際立つことは、サラリーマンにとっては真逆を良しとする文化があるため残酷に受け止められ、日本の前近代的雇用形態は如何に個性を潰しブランドのない人間を作り出す仕組みだったかを思わせる。
「100円ショップでプレゼントを送るなら」という興味深いテーマから、贈り物はお金より時間をかけることが大切というシンプルな論理を改めて気付かされた。
自己ブランドのためにはx(「自分が」できること)-y(「相手が」幸せになること)軸の方程式を持たなければならない。方程式はたくさんの事をやってみて失敗をすることでそのブラッシュアップができる、その繰り返しで自分のブランドを実現する方程式が出来上がる。やはり挑戦し続け失敗を重ねることが大切だ。必要なのは努力よりも意識である主張もシンプルで身にしみやすい。
高く飛ぶには荷物を背負うことも合理的でなさそうな合理性を持った面白い内容だ。かっこよく負けるもブランドの一助になり得る。
ただ内容自体は自己ブランドを持つためのノウハウを74個も紹介しているが、どれも言われつくされたもので目新しいものはなく、書いている内容に筆者のブランドがない皮肉なもの。文章もテンポよく読んでもらうことを意図してか短文で書かれているが、敬体になっており一文が短いのにテンポが悪く、宗教じみた胡散臭い印象を与えてしまうことが残念。文体は大切という反面教師となる本だった。
- 感想投稿日 : 2023年6月29日
- 読了日 : 2023年6月29日
- 本棚登録日 : 2023年6月29日
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