時計館の殺人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1995年6月7日発売)
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本棚登録 : 4749
感想 : 428
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館シリーズ前作の人形館でだいぶ変化球が来たのですが、この時計館の殺人はド直球の謎解きでした。

これぞ館シリーズ。面白かったです。
館にきちんと存在感があり、かつトリックの主役になっている。伏線の素晴らしさ、犯人の動機、トリック、時計館の謎、過去と現在がうまく絡み合って、最後の章で一気に謎が解け、物語が終わります。
仕掛けが盛りだくさんで、読後感のカタルシスが半端ないです。

犯人は目星がついても、このトリックが解ける人はそうはいないのではないでしょうか。時計・時間を使ったトリックだろうなあ、とは誰もが思いますが、これは思いつかなかったなあ。

それにしても、大勢死にましたね〜。過去と現在合わせて1番多いのでは。あまりにテンポよく死んでいくんで、誰もいなくなっちゃうんじゃないかと思いました。

時計館という舞台も、美少女が変死した過去も、かなり怖くて、ゾクゾクしました。
水車館が1番怖かったのですが、それに次ぐおどろおどろしさ。旧時計館の章では河南の視点で話を読むことが多いので閉鎖された空間で1人、また1人消えていく恐怖をたっぷり味わいました。

講談社ノベルス版を読みましたが、綾辻さんのあとがきが最後にあります。綾辻さんってだいぶ軽妙な文章をかかれる方なんですね。本編との違いに驚き、素の文章も読んでみたくなりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年3月5日
読了日 : 2019年3月5日
本棚登録日 : 2019年3月5日

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